
ワインのラベルの真実:「亜硫酸塩(酸化防止剤)」は体に悪いのか?
公開日: 2025-10-22
ワインのラベルの真実:「亜硫酸塩(酸化防止剤)」は体に悪いのか?
スペインワインを選ぶとき、裏のラベルに「酸化防止剤(亜硫酸塩)含有」と書かれているのを見て、少し不安に思ったことはありませんか?「これは体に悪い化学物質なのだろうか?」と考える人は少なくありません。今日は、この大きな誤解を解き明かしましょう。
結論から言うと、亜硫酸塩はほとんどの人にとって無害であり、美味しいワインを造るために不可欠な伝統的なパートナーです。
亜硫酸塩とは何か?
亜硫酸塩(SO₂)は、ワインを劣化から守るために使われる保存料です。その役割は大きく二つあります。
- 酸化防止: ワインが空気に触れて劣化し、色や風味が損なわれるのを防ぎます。
- 抗菌作用: ワインの風味を損なう可能性のある酢酸菌などのバクテリアや野生酵母の繁殖を抑えます。
これは、ジャムを作るときに砂糖をたくさん入れたり、ハムを作るときに塩を使うのと同じで、食品を美味しく安全に保つための古くからの知恵なのです。
なぜ「含有」と表示する義務があるのか?
では、なぜわざわざ「警告」のように表示されているのでしょうか?
それは、ごく一部の人々(全人口の約1%)が亜硫酸塩に対してアレルギーや過敏症を持っているからです。特に喘息を持つ人の中には、亜硫酸塩によって症状が誘発される場合があります。
このため、EUの法律では、アレルギーを持つ消費者を守るために、一定量以上の亜硫酸塩を含むワインには、その旨を表示することが義務付けられています。これは「危険物」の表示ではなく、食品の「アレルギー表示」(例:「本製品は小麦を含む工場で製造されています」)と同じ目的のものです。
ほぼ全てのワインに含まれている
実は、醸造家が一切亜硫酸塩を添加しなくても、ブドウが発酵する過程で自然に微量の亜硫酸塩が生成されます。そのため、「亜硫酸塩ゼロ」のワインは、理論上ほぼ存在しません。
ワインだけでなく、ドライフルーツ(レーズンやアプリコット)、ポテトチップス、加工された肉製品など、私たちの身の回りにある多くの食品にも、ワインよりるかに多くの亜硫酸塩が使われています。
ですから、次にワインのラベルを見たときは、安心してください。その表示は、品質が低いという意味ではなく、アレルギーを持つ人への親切な情報提供なのです。この小さな知識が、あなたのワイン選びをより楽しく、自信に満ちたものにしてくれることを願っています。